VWAPとは?
株式チャートを見ていると、VWAPという指標を目にすることがあります。
VWAPは単なる平均価格ではありません。出来高まで含めて算出された平均価格です。そのため、市場参加者が取引時間中に実際にどの価格帯で多く取引したのかを把握するのに役立ちます。

VWAPの意味
VWAPはVolume Weighted Average Priceの略です。
日本語では通常、出来高加重平均価格と呼ばれます。
文字通り、価格に出来高を反映させて計算した平均価格です。
VWAP = 出来高を反映した平均売買価格
単純平均は価格だけを見ますが、VWAPはどの価格でどれだけ多く取引されたかを合わせて見ます。
例えば、10,000円で少し取引され、10,200円ではるかに多く取引された場合、市場の平均価格は10,200円の方により近く計算されます。
VWAPの計算方法
VWAPの基本的な計算式は以下の通りです。
VWAP = 累積(価格 × 出来高) / 累積出来高
例えば、以下のように取引が発生したとします。
| 価格 | 出来高 | 価格 × 出来高 |
|---|---|---|
| 10,000円 | 100株 | 1,000,000 |
| 10,100円 | 200株 | 2,020,000 |
| 10,200円 | 700株 | 7,140,000 |
計算すると以下のようになります。
合計 価格×出来高 = 10,160,000
合計 出来高 = 1,000株
VWAP = 10,160,000 / 1,000
= 10,160円
単純平均であれば10,100円ですが、VWAPは10,160円です。
10,200円付近で出来高が多く発生したため、平均価格が上方に引き上げられたのです。
VWAPはいつからいつまで計算されるのか?
VWAPは通常、その日の市場開始以降、現在までの取引を累積して計算されます。
つまり、ある銘柄が今日の午前9時に取引を開始した場合、午前9時から現在までに約定した価格と出来高を継続的に合算してVWAPが算出されます。
今日の市場開始以降の累積取引に基づく平均価格
そのため、VWAPは取引時間中に常に変動します。序盤は出来高が少なく変動しやすいですが、時間が経って出来高が積み重なると、徐々に安定した基準線となります。
この値を自分で計算する必要はありません。証券会社のチャートやHTS、MTSで提供されているVWAPラインを確認すれば十分です。
VWAPが示す意味
VWAPは、取引時間中の市場における平均買付単価に近い基準線と見なすことができます。
現在価格がVWAPよりも上にある場合、それは取引時間中の平均取引価格よりも高い位置で取引されていることを意味します。
現在価格 > VWAP
= 現在価格が取引時間中の平均取引価格よりも上にある
逆に、現在価格がVWAPよりも下にある場合、それは取引時間中の平均取引価格よりも低い位置で取引されていることを意味します。
現在価格 < VWAP
= 現在価格が取引時間中の平均取引価格よりも下にある
この違いは重要です。
現在価格がVWAPの上で推移する場合、それは買い勢力が取引時間中の平均価格よりも高い価格を継続的に受け入れていることを意味します。市場が比較的強い流れを作っていると見ることができます。
現在価格がVWAPの下で推移する場合、それは取引時間中の平均取引価格を回復できていないことを意味します。買い勢力が弱いか、上方から売り物が出続けている可能性があります。
VWAPを分析に活用する方法
1. 現在価格の位置を確認する
VWAPは、取引時間中の価格の基準線として機能します。
現在価格がVWAPよりも上にある
= 取引時間中の平均よりも強い位置
現在価格がVWAPよりも下にある
= 取引時間中の平均よりも弱い位置
これだけでも、現在のトレンドが強いか弱いかを素早く判断できます。
2. ブレイクアウトシグナルの信頼性を高める
株式チャートで価格が直前の高値をブレイクアウトする際、VWAPの上でブレイクアウトが発生すると、そのシグナルはより強力に見えます。
例えば、以下のような状況です。
現在価格がVWAPよりも上にある
出来高増加
直近高値ブレイクアウト
陽線形成
この場合、単に一時的に価格が跳ね上がったのではなく、取引時間中の平均価格よりも強い位置で買い勢力がついていると解釈できます。
逆に、現在価格がVWAPよりも下にある状態で一時的に高値を試す場合は、勢いが弱い可能性があります。上方の売り物を突破できずに再び押し戻される可能性が高まります。
3. 押し目買いの判断に参考にする
強い銘柄は、上昇後に押し目が出てもVWAP付近で再びサポートされることがあります。
この場合、VWAPは短期的な支持線として機能することができます。
上昇後の調整
VWAP付近まで押し目
出来高減少
再び陽線に転換
このような流れは、押し目買いからの反発候補と見なすことができます。
逆に、VWAPを大きく割り込み回復できない場合は、トレンドが弱まったと見ることができます。
4. 出来高加重平均価格と約定強度を合わせて見る
約定強度は、買い約定と売り約定のうち、どちらがより積極的であるかを示します。
VWAPは、現在価格が取引時間中の平均取引価格よりも上にあるか下にあるかを示します。
両方を合わせて見ると、解釈がより明確になります。
約定強度が高い + 現在価格がVWAPよりも上
= 買い約定が強く、価格も取引時間中の平均よりも強い位置
約定強度が高い + 現在価格がVWAPよりも下
= 買い約定はあるが、まだ平均価格を回復できていない状態
約定強度が低い + 現在価格がVWAPよりも下
= 売り勢力が強く、価格も弱い位置
約定強度とVWAPが同じ方向を指し示す場合、信頼性が高まります。
VWAPを見る際の注意点
VWAPも単独で売買の意思決定を行う指標ではありません。
現在価格がVWAPよりも上にあるからといって、必ずしも良い買い場となるわけではありません。すでに大きく上昇した後であれば、むしろ高値追いのリスクがあります。
現在価格がVWAPよりも下にあるからといって、必ずしも悪いわけではありません。強い銘柄が一時的に押し目をつけ、再びVWAPを回復するケースもあります。
重要なのは、VWAPと価格の関係がどのように変化するかを見ることです。
VWAPの上で持ちこたえているか
VWAPを割り込んだか
割り込んだ後に再び回復するか
VWAP付近で出来高が伴っているか
VWAPは価格の位置を判断する基準線です。その基準線周辺で価格、出来高、ローソク足、約定強度がどのように動いているかを合わせて見る必要があります。
まとめ
VWAPは出来高加重平均価格と呼ばれます。
計算式はシンプルです。
VWAP = 累積(価格 × 出来高) / 累積出来高
VWAPは、取引時間中に市場参加者が実際に多く取引した平均価格を示します。
現在価格がVWAPよりも上にある場合、取引時間中の平均取引価格よりも強い位置にあり、VWAPよりも下にある場合、平均取引価格よりも弱い位置にあります。
分析では、以下のように活用できます。
現在価格の強弱判断
ブレイクアウトシグナルの信頼性確認
押し目買いのサポート確認
約定強度と合わせて買い勢力の解釈
VWAPはチャート上に引かれた単なる線ではありません。取引時間中に出来高がどこに積み重なったのか、現在価格がその平均よりも強いのか弱いのかを示す基準線です。
そのため、VWAPはエントリーポイントやエグジットポイントを判断する上で良い参考指標となります。ただし、価格の動き、出来高、ローソク足の形状、約定強度と合わせて見ることで、その意味はより明確になります。